「歯周病は感染する」と聞いたことはありますか？多くの人が虫歯の感染については知っていても、歯周病も感染する病気であることは意外と知られていません。しかし、歯周病は細菌による感染症の一種であり、ある条件下では人から人へとうつる可能性があります。
歯周病の原因とは？
歯周病は、歯と歯ぐきの間に溜まったプラーク（歯垢）や歯石に含まれる細菌が炎症を引き起こし、歯ぐきや歯を支える骨にダメージを与える病気です。特に P.ジンジバリス（Porphyromonas gingivalis） などの歯周病菌が増殖すると、炎症が進行し、最終的には歯が抜けてしまうリスクもあります。
歯周病はどのように感染するのか？
歯周病菌は 唾液を介して人から人へ感染する ことが確認されています。家族や恋人、介護の場面など、日常の何気ない行動を通じて細菌が移動することがあります。たとえば、親子や夫婦間での食器の共有や口移しでの食事、キス、飲み物の回し飲みといった行為が、歯周病菌を伝播させる可能性があります。また、介護の際にスプーンや箸を共有することで高齢者に感染するケースもあります。
特に、赤ちゃんや高齢者は免疫力が低いため、細菌の影響を受けやすい傾向があります。そのため、親が口移しで食事を与えたり、身近な人が使った食器を共用することは、感染リスクを高める要因となります。しかし、感染したからといって必ずしも歯周病を発症するわけではなく、個々の口腔環境や生活習慣によって発症のリスクが変わります。
感染しても必ず発症するわけではない
歯周病菌が口腔内に入ったからといって、すぐに歯周病を発症するわけではありません。その人の免疫力や生活習慣、口腔環境などによって、歯周病のリスクは大きく変わります。たとえば、疲労やストレスが溜まって免疫力が低下していると、歯周病菌が増殖しやすくなり、炎症が起こりやすくなります。また、普段の歯磨きが不十分であったり、歯石を長期間放置していたりすると、細菌が繁殖しやすくなり、歯周病のリスクが高まります。
さらに、喫煙も歯周病の大きなリスク要因です。タバコに含まれるニコチンは血流を悪化させ、歯ぐきの抵抗力を低下させるため、歯周病が進行しやすくなります。また、糖尿病のある方は血糖値が高い状態が続くと、歯ぐきの炎症が悪化しやすいとされています。さらに、甘いものや炭水化物の多い食生活が続くと、歯周病菌の増殖を助長し、歯ぐきの健康に悪影響を及ぼします。
歯周病を防ぐためにできること
歯周病の感染リスクを減らすためには、日常的なケアが重要です。
毎日の歯磨き：歯周病菌を増やさないために、フッ素入りの歯磨き粉を使い、正しいブラッシングを心がけましょう。
デンタルフロスや歯間ブラシの活用：歯ブラシだけでは取りきれない汚れを除去するために、補助的なケア用品を使用しましょう。
定期的な歯科検診：歯石はセルフケアでは除去できないため、歯科医院でのクリーニング（スケーリング）を受けることが大切です。
食器や箸の共有を避ける：特に子どもや高齢者との食器の使い回しは、感染リスクを高めるため注意が必要です。
生活習慣の改善：免疫力を高めるために、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけましょう。
禁煙：喫煙は歯周病の大きなリスク要因の一つです。禁煙することで、歯ぐきの健康を保ちやすくなります。
適切な水分補給：口腔内の乾燥を防ぐことで、歯周病菌の増殖を抑えます。
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歯周病は、唾液を介して人にうつる可能性がある感染症ですが、適切な口腔ケアや生活習慣の改善によって予防することができます。特に、家族やパートナーと長く健康な口腔環境を保つためには、日々のケアを怠らず、定期的な歯科検診を受けることが大切です。
歯ぐきの腫れや出血が気になる場合は、早めに歯科医院を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。歯周病は早期に対処すれば治療が可能な病気です。ご自身の健康だけでなく、大切な人を守るためにも、正しい知識とケアを心がけましょう。
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