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歯周病と認知症の関係

皆さんこんにちは。
静岡市駿河区にある歯医者【藤本歯科医院】です。
近年、歯周病と糖尿病、脳疾患、心臓疾患などの全身疾患との関連性が明らかになり、報道でも取り上げられることが増えています。特に最近、注目されているのは歯周病と認知症(アルツハイマー型認知症)との関係です。今回は、歯周病とアルツハイマー型認知症、さらに歯周病と糖尿病などの全身疾患との関係に焦点を当てて説明します。

歯周病と認知症の関係とは

以前から、歯周病と認知症の関連性が指摘されています。ただし、これは厳密に言えば、歯周病が直接的な原因で認知症になるというものではなく、むしろ歯周病によって歯を失うことで、噛む刺激が脳に伝わりにくくなり、認知症のリスクが高まるという考え方です。

私たちは食事を咀嚼することで脳に刺激を送っています。逆に言えば、歯が欠損してしまうと、しっかりと咀嚼ができなくなり、脳への刺激も減少します。歯の本数が少ない人は、咀嚼による脳の活性化が不足し、結果として認知機能が低下し、認知症のリスクが高まるという研究結果も存在します。

歯周病がアルツハイマー型認知症の原因

歯周病で歯を失うことで認知症のリスクが高まるのは上述のとおりですが、この場合の直接的な原因は「歯を失うこと」であり、歯周病に限らず、むし歯や事故などで歯を失った場合も同様に認知症のリスクが高まると言えます。ですが、近年の研究では、歯周病が認知症のなかでも特に多い「アルツハイマー型認知症」の直接的な原因になっている可能性があることが明らかになってきました。

アルツハイマー型認知症とは

日本では高齢者の割合が増加しており、その結果、認知症と診断される方の数も増えています。認知症はいくつかのタイプに分類されますが、その中で最も一般的なのがアルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症の主な症状には、記憶障害、言語障害、視空間認知障害、見当識障害(現在の場所や時間が分からなくなる障害)などがあります。

歯周病はアルツハイマー型認知症の原因に

アルツハイマー型認知症の大きな原因になっているのが、「アミロイドβ」という異常なタンパク質が脳に蓄積してしまうことです。アミロイドβによって脳神経細胞が破壊され、脳が萎縮することで徐々に認知機能が低下していくのがアルツハイマー型認知症です。

これまで、アミロイドβが脳に蓄積してしまう原因は分かっていませんでしたが、2019年におこなわれたマウスを使った実験で、歯周病菌であるジンジバリス菌(Pg菌)によってアミロイドβが産生されることが発見されました。九州大学大学院 歯学研究院の武 洲准教授の研究チームがおこなったマウスの実験では、人の中年に当たるマウスの全身にジンジバリス菌(Pg菌)を慢性投与した結果、マウスの脳内にある「アミロイドβ」が増加し、記憶障害が誘発されたのです。

このような研究などから、近年では、歯周病がアルツハイマー型認知症の直接的な原因となっている可能性が指摘されるようになりました。

歯周病は全身の健康に悪影響を及ぼす

歯周病はアルツハイマー型認知症の原因だけでなく、さまざまな全身疾患のトリガーとなることが明らかになっています。歯周病が進行すると、口腔内、特に歯周ポケット内に多量の歯周病菌が存在します。これらの歯周病菌が血液を介して体内の各臓器に広がり、全身疾患に悪影響を及ぼす可能性があるのです。歯周病と関連する主な全身疾患は以下の通りです。

糖尿病

糖尿病患者は歯周病に罹患するリスクが高く、その逆に歯周病患者は糖尿病が悪化しやすくなることが確認されています。さらに、歯周病の治療が血糖値の改善に寄与し、糖尿病の改善にも寄与するという報告も存在します。

脳血管疾患

歯周病菌が血液を通じて体内に広がることで、動脈硬化の引き金となり、脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを高める可能性が示唆されています。実際、脳梗塞の患者の中には、歯周病に感染している割合が高いことが確認されています。

心臓疾患

歯周病菌が血液を介して心臓に運ばれることで、感染性心内膜炎をはじめとする心臓疾患を引き起こす可能性が指摘されています。

誤嚥性肺炎

誤嚥(ごえん:誤って気管に食べ物が入ってしまうこと)によって、食べ物と一緒に歯周病菌が気管に入り込み、それが肺にまで達すると、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こすリスクが高くなります。

早産・低体重児出産

歯周病に感染している妊婦は、感染していない妊婦と比較して、早産や低体重児の出産リスクが約2〜4倍高いというデータが存在します。

歯周病のセルフチェック

以下は、歯周病の代表的な症状です。一つでも当てはまる症状がある方は、歯周病に感染している疑いがあります。

□ ブラッシングの際に歯茎から出血がある

□ 歯茎が赤く腫れている

□ 歯茎から膿みが出る(もしくは、朝起きたとき口の中がネバネバする)

□ 歯茎がむずがゆい

□ 口臭がきつい

□ 以前より歯が長くなった気がする(もしくは、歯と歯の間が広がった気がする)

□ 歯を指で押すとグラグラする

歯周病の治療なら静岡市駿河区にある歯医者【藤本歯科医院】へご相談ください。

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